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12月 30 2020

ワンちゃんの甲状腺機能低下症について

こんにちは。野並どうぶつ病院の病院ブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではワンちゃん、ネコちゃんの病気や病院で行っている手術についてご紹介していきます。今日は「甲状腺機能低下症」とういうワンちゃんの病気についてお話しをします。前回お話しした猫ちゃんの「甲状腺機能亢進症」とは逆に甲状腺ホルモンが減少する病気です。

 

まず初めに甲状腺は喉のやや下の左右にあり、代謝に重要な甲状腺ホルモンを分泌する臓器です。生命の維持に極めて重要な役割を担っています。甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンの分泌が減少することによって元気がなくなったり、脱毛、肥満傾向、寒がるなどの様々な症状がみられます。中高齢のわんちゃんではクッシング症候群に次いで多くみられる内分泌疾患の一つです。

 

 

目次

  1. 「甲状腺機能低下症」ってどんな病気?
  2. どのような症状がおきますか?
  3. どのような検査を行いますか?
  4. 治療法はありますか?
  5. 最後に 

 

 

 

1⃣「甲状腺機能低下症」ってどんな病気?

甲状腺機能低下症のほとんどは甲状腺そのものに異常がある原発性甲状腺機能低下症です。下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)分泌低下による二次性甲状腺機能低下症は稀であると考えられています。原発性甲状腺機能低下症を引き起こす原因として、免疫が関わっているようなリンパ球甲状腺炎や原因がよくわからない特発性甲状腺委縮、甲状腺の腫瘍等があります。犬種としてはゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ドーベルマンでの発生が多いと報告されています。

 

 

 

2⃣どのような症状がおきますか?

よくみられる症状としては内分泌性脱毛、色素沈着、ラットテール、難治性の膿皮症、外耳炎、角化異常などの皮膚徴候、肥満、活動性の低下、悲劇的顔貌、徐脈等が挙げられます。その他には発生頻度は低くなりますが、顔面神経麻痺、ナックリング、前庭障害などの末梢神経障害も起こります。まれに低体温、昏睡、虚脱を引き起こす粘液水腫性昏睡が発生することがあります。

 

 

 

3⃣どのような検査を行いますか?

血液検査や甲状腺ホルモン濃度の測定を行います。血液検査では軽度の非再生性貧血がみられることがあります。また血液生化学検査では甲状腺機能低下症の犬のうち75%で高コレステロール血症が見られると報告されています。甲状腺機能低下症では血中チロキシン(T₄)濃度および血中遊離T₄(fT₄)濃度が低値となります。診断におけるT₄およびfT₄の感度は高いため、これらの数値が基準範囲内であった場合、甲状腺機能低下症の可能性は低くなります。ただし甲状腺の病気でない他の重度な病気の場合でも甲状腺ホルモン濃度は低下することがあり、誤診を招くことがあります。その場合にfT₄のほうが非甲状腺疾患の影響を受けにくいとされているのでT₄だけでなくfT₄の測定も行うことが重要です。また血中TSH濃度が高値であった場合には甲状腺機能低下症の可能性が高くなるためT₄またはfT₄、TSHの測定を組み合わせることで診察の特異度は向上します。超音波検査も有用で、甲状腺機能低下症の犬の甲状腺は正常な犬よりも小さくなります。ただし甲状腺の大きさは体格によって異なるため、犬種ごとの基準と比較する必要があります。

 

 

 

4⃣治療法はありますか?

甲状腺ホルモン欠乏による疾患であるため甲状腺ホルモンの補充療法を行います。一般的にはレボチロキシンナトリウム製剤を用います。活動性低下や高脂血症などは投与開始から1-2週間のうちに改善の傾向がみられることが多いですが、皮膚や神経徴候などは改善に数週間~数か月を要する可能性があります。治療を開始してからは血液検査も定期的に行い、お薬の投与量が適正に保たれているか見ていく必要があります。投与量が多すぎると頻脈や興奮等の症状がでることもあるため注意が必要です。また甲状腺腫瘍が原因の甲状腺機能低下症では外科的治療(手術)や放射線療法、化学療法も考慮して治療を選択します。

 

 

 

5⃣最後に

原発性の甲状腺機能低下症は適切に診断、治療が行われれば予後は良好です。早期発見、早期治療が大切となります。また低下した甲状腺の機能が回復することはないため生涯にわたるレボチロキシンナトリウム製剤の投与が必要です。中年齢のワンちゃんで増えてくる病気です。本日説明したような症状や気になることがあれば一度病院にいらしてください。

 

年内最後のブログになります。来年度も引き続きワンちゃんやネコちゃんの病気や日常ケアについてのお話しを書かせていただきますので引き続きよろしくお願い致します。


12月 24 2020

ネコちゃんの甲状腺機能亢進症について

こんにちは。野並どうぶつ病院の病院ブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではワンちゃん、ネコちゃんの病気や病院で行っている手術についてご紹介していきます。今日は「甲状腺機能亢進症」とういうネコちゃんの病気についてお話しをします。

 

まず初めに甲状腺は喉のやや下の左右にあり、代謝に重要な甲状腺ホルモンを分泌する臓器です。生命の維持に極めて重要な役割を担っています。甲状腺機能亢進症は甲状腺から過剰な甲状腺ホルモンが分泌されることによって引き起こされる病気です。10歳以上の高齢な猫ちゃんでしばしばみられる慢性腎臓病とならぶ代表的な病気の一つです。今日はそんな猫ちゃんの「甲状腺機能亢進症」という病気についてお話しをします。

 

目次

  1. 「甲状腺機能亢進症」ってどんな病気?
  2. どんな症状がおきますか?
  3. どのような検査を行いますか?
  4. 治療法はありますか?
  5. 最後に

 

 

 

1⃣「甲状腺機能亢進症」ってどんな病気?

甲状腺の良性の腺腫性過形成、腺癌によって甲状腺ホルモンが過剰に分泌する疾患です。腺腫性過形成が多く、悪性腫瘍(腺癌など)は2%未満とされています。今現在のところ甲状腺が過形成に発展する真の原因は明確には解明されていません。感染や代謝、環境や遺伝等が相互に作用していると考えられます。

 

 

 

2⃣どんな症状がおきますか?

典型的な症状としては体重減少、多食、活動性の亢進等があり、その他にも被毛の変化や多飲多尿、嘔吐、下痢、頻脈、高血圧といった様々な臨床徴候を示します。その症状は多様ですが、なかでも食欲低下を伴わない体重減少や多飲多尿、活動性の亢進等が特徴的な症状として挙げられます。食事量が低下しないために飼い主様には病気とはとらえにくく、なかなか病気に気づかないこともあります。

 

 

 

3⃣どのような検査を行いますか?

身体検査では脱水や削痩、被毛の変化が見られることが多く、頸部には大きくなった甲状腺を触知することができます。ただし触知できるのは20-30%以下との報告もあるので必ず触知できるわけではありません。また血液検査ではALPやALTといった肝酵素の上昇が多くの症例で認められます。診断は甲状腺ホルモン(血清T₄濃度)を測定します。典型的な症状を伴いT₄濃度が高い場合(5μg/dl)はほぼ甲状腺機能亢進症と診断することができます。また軽度の甲状腺機能亢進症や腫瘍や全身性の感染症、臓器不全では正常な血清T₄濃度を示すこともあり、診断ができないことがあります。そのため一回だけの検査結果では血清T₄濃度が「正常値」を示しても甲状腺機能亢進症を除外することはできません。場合によっては追加のホルモン検査や、間隔をあけて再度数値を測定する必要があります。

 

 

 

4⃣治療法はありますか?

猫の甲状腺機能亢進症の治療法は次の3つに大別されます。

  • 経口抗甲状腺薬
  • 甲状腺摘出手術
  • 放射性ヨード療法

 

一つ目は抗甲状腺薬の経口投与です。抗甲状腺薬を投与し甲状腺機能亢進症により代謝や循環に起こる様々な障害からの回復を図ります。薬の作用は甲状腺ホルモンの合成阻害なので生涯投薬を継続する必要があります。また副作用がでることもあるので定期的に甲状腺ホルモンの測定を行い、症状を観察しながら投与量を調節していく必要があります。また近年ヨードを制限した療法食(ヒルズ社のy/d)の発売によって食餌療法により甲状腺機能亢進症をコントロールするという選択肢も増えましたが、内科治療のほとんどは抗甲状腺薬によって行われています。

二つ目は外科的治療(甲状腺摘出術)です。根治治療となるため日々の投薬が必要なくなり、長寿や生活の質の向上が期待できます。手術の場合は猫ちゃんの年齢や一般状態、麻酔に対するリスクや、腎機能の状態、併発疾患の重症度等を考慮し慎重に考える必要があり、進行しすぎた症例ではリスクが高くなります。甲状腺摘出後に残ったほうの甲状腺の機能が十分でない場合は甲状腺機能低下症がみられることもあります。徐々に回復する場合もありますが、場合によっては甲状腺ホルモンの補充療法が必要になる場合もあります。

三つめは放射性ヨウ素治療ですが、現在日本では実施不可能であるため今回はご紹介だけさせていただきます。

 

 

5⃣最後に

甲状腺機能亢進症は10歳以上の高齢猫に多く認められ、無治療で放置すると寿命が著しく短縮されますが、適切な治療を行うことで長期の延命効果を図ることができる病気です。この病気は「高齢猫が食べるのに痩せてくる」「ニャーニャー良く鳴いて落ち着きがない」等の特徴があります。何か気になる症状があれば是非一度診察へいらしてください。

 


12月 08 2020

ワンちゃんに多い心臓病

こんにちは。野並どうぶつ病院の病院ブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではワンちゃん、ネコちゃんの病気や病院で行っている手術についてご紹介していきます。今日は「僧帽弁閉鎖不全症」とういうワンちゃんで比較的多くみられる心臓の病気についてお話しをします。

僧帽弁閉鎖不全症は全ての犬種でみられますがとくに中年齢以上のマルチーズ、シーズー、ポメラニアン、プードル、キャバリアキングチャールズスパニエル、チワワなどに多発し4~5歳齢をピークに加齢とともに発生が増加するといわれています。雄は雌の1.5倍の罹患率をもつといわれています。心臓病というのは初期には目立った症状がないため、なかなか気づきにくく症状が現れるころにはひどくなっているケースがほとんどです。

 

 

目次

  1. 原因は?
  2. どんな症状がおきますか?
  3. 診断
  4. どのような治療を行いますか?
  5. 最後に

 

 

 

 

1⃣原因は?

僧帽弁とは心臓の左心房と左心室の間に位置する二枚の薄い弁のことです。心臓が収縮したさいに心房と心室を閉鎖し左心房への血液の逆流を防ぐ役割を果たしています。僧帽弁閉鎖不全症ではこの弁が粘液変性によって肥厚し、うまく閉まらなくなると血液が左心室から左心房へ逆流します。僧帽弁がうまく閉じなくなると血液の一部が逆流してしまうことで全身へうまく血液が送り出せなくなります。初期の段階では心臓が頑張って働くことにより全身に大きな影響はありませんが、この状態が長く続き限界をむかえると心不全の状態になります。また弁を支持している腱索が断裂して急激に症状が悪化する場合もあり、その時は急死する可能性もあります。

 

 

 

 

2⃣どんな症状がおきますか?

僧帽弁における血液の逆流が軽度の場合には循環状態や心臓の形態に大きな影響を与えることはないため臨床症状(咳や運動不耐性)の発現や心拡大などの異常所見はみられません。時間の経過とともに僧帽弁や腱索および乳頭筋などの障害は進行し同時に逆流量も増加することで左心房は拡張してきます。左心房の拡張が進行すると背側に位置する気管支が物理的に圧迫され興奮したときや運動したときに咳がでるようになります。咳は多く認められる症状の一つなので咳を頻繁にするようになった場合は注意が必要です。自宅でも心拍数や呼吸数、食欲の変化や散歩の様子等を確認し、変化がないかを見ていく必要があります。また心不全が悪化し、肺に水が溜まる「肺水腫」になった場合は緊急性が高く命に関わります。

 

 

 

 

3⃣診断

身体検査が重要となり心雑音が聴取されることがほとんどです。発咳や以前よりも疲れやすくなった等の行動の変化や呼吸状態に異常がないか確認をします。その他にはX線検査や超音波検査が重要となります。X線検査では心陰影(特に左心系)の拡大や肺野の不透過性の亢進、気管支の圧迫等を確認します。超音波検査では弁の逆流や腱索の状態、心房や心室の肥大を確認します。また場合により血圧測定や心電図検査によってより詳細な病態を把握することができます。

 

 

 

 

4⃣どのような治療を行いますか?

臨床症状や検査結果によって重症度を評価し、その段階にあった治療を行っていきます。主に食事療法や内服薬としてアンギオテンシン変換酵素阻害剤や強心薬、血管拡張薬、B遮断薬、状態によっては利尿剤の投与を行います。基本的に一生投薬が必要になります。根治治療としては心臓外科手術になり、僧帽弁の修復術が有効な方法だとは考えられています。しかし手術が適応にならないタイプの心不全や持病(腎不全や重度の肝障害等)がある場合は手術は慎重に考える必要があります。また手術費用も高額になります。対応できる病院は限られていますので希望される場合はご紹介させていただきます。

 

 

 

 

5⃣最後に

僧帽弁閉鎖不全症は加齢ともに増加する犬の代表的な心疾患です。心臓病というのは初期には目立った症状がないため、なかなか気づきにくく症状が現れるころにはひどくなっているケースがほとんどです。症状がない場合でも定期的に病院を受診し、聴診で異常がないかみてもらいましょう。異常がある場合や、症状があれば検査をお勧めします。何か不安なことや聞きたいことがあれば一度病院にいらしてください。

 


11月 16 2020

犬の白内障について

こんにちは。野並どうぶつ病院の病院ブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではワンちゃん、ネコちゃんの病気や病院で行っている手術についてご紹介していきます。今日はわんちゃんの「白内障」についてお話しをしたいと思います。

 

白内障は水晶体の一部または全部が白濁する病気で、その程度が進めば進むほど白く濁りそれにより視力に影響が出てしまう病気です。眼球の中のレンズ(水晶体)は主として水とタンパク質から構成されており、通常は透明です。原因は未だ不明な点が多いのですが、何らかの原因でこの水晶体のタンパク質分子の構成が乱されると透明性が維持できなくなって白濁します。白濁した状態は元の状態に戻ることはありません。この状態を白内障とよびます。

 

 

<目次>

犬の白内障ってどんな病気?

犬の白内障の原因は?

犬の白内障の治療法にはどんなものがありますか?

最後に

 

 

 

1⃣犬の白内障ってどんな病気?

犬の白内障は人間と異なる点が多くあり、そのことを知っていただく事が治療や早期発見の第一歩となります。人の白内障の原因は加齢によるものが多いと考えられていますが、犬の場合は若くして白内障になることがあります。1~6歳齢で発症するものを若年性白内障、犬では6~8歳齢以上で発症するものを老年性白内障と呼びます。そして犬には白内障になりやすい犬種があります。コッカ-スパニエル、プードル、ビーグル、アフガンハウンド、シーズー、柴犬、チワワなどで発生が多いと報告されています。また白内障は混濁の程度により①初発白内障②未成熟白内障③成熟白内障④過熟白内障に分類されます。

 

①初発白内障・・・水晶体線維の一部やごく限られた部位に発生。日常の動作には変化がなく家族が気づくことは少ない。

②未成熟白内障・・・水晶体全体が混濁していない状態でなおかつ眼底からの反射がみとめられるもの。白内障が片側の場合でも日常の動作が鈍くなっていることがあり、家族が気づくこともある。

③成熟白内障・・・水晶体全体が完全に混濁している状態で眼底からの反射は認められない。両眼性の場合には物にぶつかる、鼻を床にこすりつけるようなしぐさで歩くなどの異常な行動が認められる。片眼性の場合には日常生活に異常が認められない場合もある。

④過熟白内障・・・成熟白内障がさらに進行して水晶体内容物が液化した状態。

 

 

 

2⃣犬の白内障の原因は?

水晶体のタンパク質が変化し濁りが出ることによって白内障は起こります。原因は大きく分けて次の2つです。

  • 先天性白内障

遺伝的素因によるもの

  • 後天性白内障

老齢性、代謝性(糖尿病、低カルシウム血症)、外傷性、続発性(緑内障、ぶどう膜炎、水晶体脱臼等)、中毒性、放射線、感電などによるもの

 

 

 

3⃣犬の白内障の治療法にはどんなものがありますか?

<内科療法>

現在行われている内科療法(点眼剤療法)は白内障の進行を遅延させる、あるいは視覚を補助するために用いているものであり白内障自体を治癒させるものではありません。またその対象は初発白内障から未成熟白内障でありそれ以外の白内障は内科療法の適応となりません。白内障の治療薬として処方している点眼剤はピレノキシンです。ピレノキシンは水晶体の蛋白変性の抑制や過酸化脂質生成の抑制等さまざまな作用により水晶体の混濁を遅延させる効果があります。

 

<外科療法>

白内障の唯一の治療法は白濁した水晶体を外科的に摘出することです。当院では白内障の手術は行っておりませんので眼科専門病院を紹介させていただきます。現在行われている白内障手術の主流は超音波水晶体乳化吸引術および眼内レンズ挿入術です。この手術の利点は小切開創から水晶体の乳化吸引ができることで折りたたみ式の眼内レンズを用いれば切開創を大きく拡大することなく眼内レンズを眼内に挿入でき眼にとっては負担の少ない手術法といえます。ただし犬の眼は非常にデリケートなため術後に合併症を発生する確率が高いという事実があります。白内障手術を成功させるためには家族の協力の下、術後の点眼、内服、定期的な通院などが必要になり、合併症が出てくる可能性が一定程度あることを予め認識しておく必要があります。

 

 

 

4⃣最後に

白内障にならないための予防方法は特にありません。人とは違い、若い子でも白内障がおこることはあるので注意してください。早期に発見できれば内科療法で進行を遅らせたり、手術によって視力を回復できる可能性は高くなります。愛犬の目の様子や行動に注意して気になることがあればすぐに病院を受診するようにしましょう。

 

 


10月 29 2020

ネコちゃんのおしっこがでません!

こんにちは。野並どうぶつ病院の病院ブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではワンちゃん、ネコちゃんの病気や病院で行っている手術についてご紹介していきます。

 

最近急に寒くなりましたね。寒い時期になると血尿や頻尿、おしっこがでないなどの排尿トラブルで来院する猫ちゃんが多くいます。血尿や頻尿の症状は軽い膀胱炎の場合もありますが、おしっこが全く出ていない場合は尿道閉塞がおこっている可能性が高く緊急性が高いです。2、3日様子をみただけで命に関わります。尿道閉塞は主に膀胱炎による炎症でできた細胞や、結晶や結石が細い尿道につまってしまうことが原因でおこります。特に男の子で多い病気です。今日は猫ちゃんの尿道閉塞の原因となる尿路結石症(尿石症)についてお話しをします。

 

<目次>

  1. 尿路結石症ってどんな病気?
  2. 結石にはどのような種類がありますか?
  3. どんな症状がおきますか?
  4. 検査および診断
  5. 治療法はあるの?
  6. 予防が重要です
  7. 最後に

 

 

1⃣尿路結石症ってどんな病気??

尿路結石は腎臓から尿管、膀胱、尿道の尿路にかけて結石が存在している状態です。結石ができてしまう原因や機序にはまだ不明な点もありますが、猫の食生活や生活習慣も大きく関わっていることがわかっています。尿のphがアルカリ性や酸性に傾きすぎたり、尿中のミネラル成分が増加したり、水分摂取量が少ないと尿量が減少するため結石の基となる結晶が析出しやすくなると考えられています。また遺伝的な要因や基礎疾患(先天性代謝異常、肝臓病、腎臓病等)があると結石ができやすい場合もあります。

 

 

 

 

2⃣結石にはどのような種類がありますか?

猫の尿路結石の成分で最も多いのはリン酸アンモニウムマグネシウム(ストラバイト)結晶とシュウ酸カルシウム結晶の二つです。この二つが90%以上を占めると言われています。他にも尿酸アンモニウム、シスチンといった結石もあります。結石のサイズは存在する部位にもよりますが、1mm以下の非常に小さいものから数㎝もある大きなものまで様々です。結石は腎臓あるいは膀胱に形成されるため、腎臓で形成された結石が尿管に移動すると尿管結石となります。また膀胱結石が排尿とともに尿道に移動すると尿道結石となります。尿管や尿道が結石により閉塞すると尿の流れが滞り、その上部(尿管であれば腎臓、尿道であれば膀胱)に損傷を与える原因となります。昔は膀胱結石や尿道結石が多いとされていましたが、最近では腎結石や尿管結石の発生も増加傾向にありそのほとんどはシュウ酸カルシウム結石です。

 

 

 

 

3⃣どんな症状がおきますか?

尿路結石が存在している場所によって異なります。腎結石の場合は持続的な血尿がみられる程度で大きな臨床症状がみられない場合も多いので検査をしない限り気づかないことも多いです。膀胱結石の場合は頻尿や血尿が主な症状ですが、あまり症状が目立たないこともあります。尿管結石では目立った症状がなく経過する場合もありますが、結石による尿管閉塞の場合は腹部を触ると痛がったり、元気消失や嘔吐がみられたりと症状も様々です。尿道結石の場合は血尿、頻尿に加えて不適切な場所での排尿、排尿困難(排尿しようとしても尿がでない)、排尿に伴う痛みといった排尿に伴う症状がでることが多いです。両側の尿管や尿道閉塞では全く排尿できない時間が長く続くため、発見、処置が遅れると腎後性急性腎障害の臨床徴候が急激に発現します。尿毒症に陥ると嘔吐、下痢、脱水、沈鬱、口臭、腹痛、尿が出ないまたは少ない状況になり、進行するとショック、痙攣、徐脈や不整脈が見られ死に至る場合もあります。特に結石による尿道閉塞は若い雄猫に多い疾患なので注意が必要です。

 

 

 

 

4⃣検査および診断

身体検査、尿検査から開始するのが一般的ですが、排尿障害がある場合は症状が進行し、重篤となるため血液検査も同時に行います。排尿がほとんど認められず血中尿素窒素(BUN)、血中クレアチニン濃度(Cre)、血中カリウムイオン濃度が上昇していたら完全な尿路閉塞を疑います。閉塞の経過時間によりますが、高カリウム血症は致死的な状態に陥る可能性が高いため、早急な対応が必要です。そのほかにもX線検査では描出されない結石もありますが、シュウ酸カルシウムであれば比較的小さくてもX線にうつることがあります。その他にもX線では腎臓の陰影が正常よりも大きくなってないどうか、左右差がないかどうかも確認することができます。

 

 

 

 

5⃣治療法はあるの?

小さなストラバイト結石は適切な食事療法によって溶解する可能性もありますが、シュウ酸カルシウム結石は内科療法で溶解することができません。膀胱結石は手術によって摘出することが推奨されます。尿道結石も一度膀胱に押し戻して膀胱から摘出しますが、その際尿道が強く損傷を受けた場合には尿道を広げたり、開口部を変更したりする手術を行う場合もあります。猫の腎結石は手術が難しい場合も多いですが、尿管結石はその数や尿管の閉塞状況にもよりますが、手術によって結石を摘出することもあります。尿管閉塞を起こして腎臓に負担がかかってしまった場合はブログでも以前にご紹介したSUBシステムの手術を行います。閉塞した尿管とは別の尿の迂回路ができることによって腎臓の負担を軽減することができます。詳しくは1月のブログをご覧ください。

 

 

 

 

6⃣予防が重要です!

尿路結石は再発しやすい病気であるため、予防が重要となります。予防には適切な食事管理が必要です。結石の成分となる物質を制限し、尿のphを結石のできにくい範囲にします。食事も様々な種類がありますので獣医師に直接相談していただき、継続して食べられるものを探しましょう。食事がどうしても変更できない場合はサプリメント等を併用し、結石の成分ができにくくなるようにします。定期的に尿検査や超音波検査を行い、経過をみることが大事です。また充分な水分摂取も大事になるので水を常に絶やさないようにし、数か所水飲み場を作るなどして工夫します。トイレを我慢しないよう常に清潔にして快適な排尿をさせます。肥満も要因の一つと言われていますので太りすぎないようにこころがけましょう。

 

 

 

 

7⃣最後に

血尿や頻尿などの排尿トラブルがみられた場合は是非一度来院していただき、検査を受けることをお勧めします。またおしっこが全く出ていない場合は緊急性が高いため、すぐ病院を受診してください。

 


10月 22 2020

犬の咳の原因は?

こんにちは。野並どうぶつ病院の病院ブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではワンちゃん、ネコちゃんの病気や病院で行っている手術についてご紹介していきます。

今日はワンちゃんの咳についてお話しをします。咳がでる原因は色々考えられます。心臓病や気管支炎、気管虚脱、ケンネルコフ等様々な原因が考えられます。今日はその中でも「気管虚脱」という病気についてお話ししたいと思います。

 

<目次>

  1. 気管虚脱ってどんな病気?
  2. どんな症状がおきますか?
  3. どのような検査を行いますか?
  4. 治療法はありますか?
  5. 最後に

 

 

1⃣気管虚脱ってどんな病気?

気管虚脱は、肺への空気の出し入れを行う気管が途中でつぶれてしまい呼吸が出来なくなる病気です。気管虚脱は日常的に遭遇する代表的な犬の呼吸器疾患の一つです。中年齢のトイ種、ミニチュア種に多く、もっとも一般的な犬種はトイプードル、ヨークシャーテリア、ポメラニアン、マルチーズ、パグ、チワワなどでみられます。気管虚脱の詳しい原因は不明ですが、軟骨が歪んだために気管が潰れたような形になり異常な呼吸音がしたりひどくなると呼吸困難になることもある病気です。

 

 

 

2⃣どんな症状がおきますか?

最も特徴的なのはアヒル様呼吸音「ガーガー」とよばれる異常呼吸音です。軽度では特に症状が認められませんが進行してくるとアヒル様呼吸音および呼吸困難を呈し、重症化すると呼吸停止を引き起こして死に至ることもあります。咳は興奮時、運動時、摂食時、首輪による圧迫時にしばしば顕著に発現します。1日中咳が続くと運動不耐や睡眠障害を起こし、食欲や元気が消失するなど全身状態が悪化するなどの症状がみられます。

 

 

 

 

3⃣どのような検査を行いますか?

主に単純X線検査により診断しています。単純X線検側方撮影を吸気時と呼気時で行い気管径や分岐部を含む気管支径などを評価し、グレードの分類を行っています。正常な気管軟骨では吸気時と呼気時の撮影において画像上の気管径に変化は見られませんが、気管軟骨が脆弱な気管虚脱では頸部気管虚脱では吸気時に、胸腔内気管虚脱においては呼気時にそれぞれ虚脱します。診断精度は気管支鏡検査やX線透視検査のほうが高いためより高度な検査を行う場合は二次病院をご紹介しています。

 

<気管虚脱の重症度は4段階にグレード分類>

グレードⅠ:最も軽症です。内腔の25%以下の狭窄がみられる

グレードⅡ:内腔の25-50%の狭窄しており気管軟骨は軽度扁平化

グレードⅢ:内腔の50-75%の狭窄しており気管軟骨は重度に扁平化

グレードⅣ:最も重症です。内腔の完全消失または完全虚脱。膜性壁は底部に接する。

 

 

 

4⃣治療法はありますか?

内科治療と外科治療があります。

<内科治療>

グレードⅠ、Ⅱで症状が軽度の場合は内科治療(鎮咳、抗炎症、鎮静、体重管理、環境管理)を行います。しかし内科治療では脆弱となった気管軟骨を治すことできません。その為お薬を服用しても根治治療ではなく、咳や呼吸困難に対する緩和治療が主になります。この病気は進行性の疾患であることから治療に対して反応が徐々に悪くなる可能性が高くなります。首輪から胴輪への切り替えや肥満犬であればダイエットを行うことで症状の緩和が見られます。また環境管理も重要で高温多湿の環境下では呼吸数の増加を招き臨床徴候を誘発するので部屋の温度や湿度に注意する必要があります。

 

 

<外科治療>

内科治療に反応がみられない、アヒル様の呼吸音や呼吸困難が2週間以上継続、グレードⅢ以上に進行している症例に対しては外科治療を勧めています。外科治療の方法として人工物を気管内に挿入するステント法あるいは気管外に巻き付けるプロテーゼ法があります。手術法によっては当院で対応できない場合もございますので、その場合は病院を紹介させていただきます。

ステント法は、気管の虚脱部にステントを挿入する治療です。ステントとは、体内の管状の部分を内側から広げるための器具のことです。気管内ステント設置術は切開がない分、手術中のダメージが少ないことが大きなメリットです。デメリットは気管の内側に異物が設置されているので、術後に異物感を感じやすく、咳が出てしまうケースもあるということです。またステントを設置した場合、定期的な気管内視鏡検査やネブライジング(薬剤を霧状にして気道内に吸入させる)が必要になります。

気管外のプロテーゼ法は、のどを切開し、気管の外側にプロテーゼを縫いつけて気管を広げる方法です。プロテーゼ設置のために切開が必要になるのですが、気管内に異物がない状態になるため術後に異物感や刺激が残りません。

 

 

 

 

5⃣最後に

犬の気管虚脱は、小型犬に多く見られる病気です。息苦しそうだったり、異常な呼吸音を発したりしていたら、すぐに獣医師にご相談ください。また軽症であっても急激に悪化する場合もありますので注意が必要です。

 


10月 14 2020

歯磨きについて

こんにちは!野並どうぶつ病院の病院ブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではワンちゃん、ネコちゃんの病気や病院で行っている手術についてご紹介していきます。今日は「歯磨き」についてお話しします。診察でも歯磨きについての質問をよく受けますので悩まれている飼い主さんも多いと思います。是非このブログを参考にしていただきたいです。質問があれば診察の時に獣医師にお尋ねください。

 

 

目次

  1. 歯磨きについて
  2. 自宅でできるその他のデンタルケア
  3. 最後に

 

 

 

1⃣歯磨きについて

歯周病の予防に一番大切なのは歯磨きをしっかりと行うことです。子犬の頃から口を触ることに慣れておき、歯磨きの習慣をつけておかないと成犬からではなかなかうまくいかないことが多いのが現状です。特に歯周病が進行してから急いで歯磨きを始めようとしても痛みで余計に口を触らせてくれないことが多い為、歯磨きが困難になります。今日は自宅で歯磨きを始める際にどんな手順や方法で勧めていけばよいのか説明します。

 

step1  口の周りを触れるようにする

犬の多くは、口を触られることを嫌います。楽しみながらでないとデンタルケアは続かないので、好きなことを同時に行い陽性の条件反射をつけることが重要です。具体的には、口を触らせてくれたらご褒美(食事やおやつ等)をあげ、口の周りを触らせるといいことがあると思わせましょう。嫌がる場合は無理をせず、少しずつ慣れていけるとよいでしょう。無理矢理やってしまうことで次回からやらせてくれなくなる場合もあるので注意が必要です。

 

step 2    口の中を触ってみましょう

口の周りが触れるようになったら次は口の中を触ってみましょう。まずは歯肉や切歯(前歯)、犬歯など触りやすいところから始めます。嫌がる場合は短時間で切り上げて後日再チャレンジしましょう。手前の歯を触ることに慣れたら、奥の歯も触っていきます。歯垢は奥歯に溜まりやすいため、奥歯まで触れるようにすることが重要です。

 

step 3    歯磨きシートを使ってみよう

口の中が触れるようになったら歯磨きシート使ってこすり磨きを始めましょう。市販の動物用の歯磨きシートやガーゼを指に巻き付けます。まずは手前からはじめて徐々に奥の歯をこすって磨いていきます。あまり強くこすりすぎると歯茎を傷めたり、炎症を起こす可能性があるため注意が必要です。また嗜好性が高い歯磨きペーストやジェル等を歯磨きシートにつけることで、嫌がらずにやらせてくれる子もいるので併用すると効果的です。病院でも何種類か歯磨きペーストがありますが、チキンフレーバーのものはとても人気があります。

 

step 4   歯ブラシにチャレンジ

歯磨きシートに慣れたら歯ブラシを使ってみましょう。歯をガーゼで触るまではやらせてくれても、歯ブラシは受け入れない子も多くいます。歯ブラシは目に見えている歯の部分でだけではく、歯と歯肉の間を横方向に少しずつ動かしながら歯周ポケットの中の歯垢を取り除くように磨くのがポイントです。磨きやすい切歯(前歯)や犬歯から行い、徐々に奥の歯を磨いていきます。一本一本丁寧に磨くのが理想ですが、嫌がる場合は一度にできない場合もあるので無理はしないようにしましょう。ここでもご褒美を上手に使いましょう。少し歯磨きをして、上手にさせてくれたらすぐご褒美をあげます。歯磨きができる時間を徐々に長くしていけるように頑張りましょう。また歯ブラシには動物用のものを用いるとよいですが、ない場合はヒト用のものでも代用できます。小型犬の子では通常ヒト用のものではヘッドが大きく使いづらいことが多いです。ヒトの赤ちゃん用を使う場合もありますが比較的毛先が太くて硬いため不向きです。歯ブラシを選ぶ際は、その子の口や歯の大きさに合わせてサイズを選び、また歯周病がある場合は歯周ポケットに歯ブラシの毛先が入りやすいものを選ぶとよいでしょう。

 

 

 

 

2⃣自宅でできるその他のデンタルケア

  • 歯磨きガム

市販、動物病院専用のものまで様々な種類があります。あくまでも歯磨きが一番ですができない場合は勧められます。ガムは硬すぎると歯を痛めたり、小さいと飲み込んでしまったりトラブルになることもあるので注意が必要です。

 

  • 乳酸菌製剤(サプリメント)

歯周病の原因となる口腔内の悪玉菌の増殖を抑える効果があります。日々投与することで歯周病や口臭を予防できます。サプリメントだけでは不十分なので、歯磨きと一緒に併用し効果を高めましょう。

 

 

 

 

3⃣最後に

歯磨きの習慣をつけるまでなかなか大変ですが、歯周病が重度になると歯の問題だけでなく、全身への悪影響もありますので頑張ってやりましょう。毎日は難しくても2,3日に一回やるだけでも効果はあります。歯周病について詳しくは6月のブログで紹介していますので一度目を通していただければと思います。また歯磨きがうまくできない場合は病院で相談にのることもできますので、一度来院していただければと思います。

 


8月 07 2020

小型のワンちゃんの骨折

こんにちは。野並どうぶつ病院の病院ブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではワンちゃん、ネコちゃんの病気や病院で行っている手術についてご紹介していきます。今日は骨折についてお話しします。

 

目次

  1. 小型犬の骨折について
  2. どんな手術をしているの?
  3. 術後管理

 

 

 

 

 

 

1⃣小型犬の骨折について

最近人気の小型犬種ではソファーや抱っこからの落下などによって骨折が認められることが多くなっています。橈尺骨骨折(とうしゃっこつこっせつ)は小動物臨床で最も多く遭遇する骨折の一つです。ギブスだけで治すのが困難な場合が多く、手術が必要になります。

小型犬、特にトイ犬種とよばれる超小型犬の橈骨はとても細くもろいので、術後に再骨折してしまったり、プレートが強すぎて骨委縮を起こしたり、癒合不全を起こしてしまう症例もいます。そこで当院では従来のプレート法の欠点を改良しより骨への血行を阻害しないようなロッキングプレートを用いた手術を行っています。

 

 

 

2⃣どんな手術をしているの?

 

従来のプレート法ではスクリュー(ネジ)を骨に押し付ける事で固定していました。そのため骨を強く圧迫することで骨膜の血流を阻害し骨折端の細胞が壊死するなど治療に悪影響を与えるリスクがありました。ロッキングプレートを用いた手術ではプレートとスクリューをロックすることで固定するものでこれまでのプレート法とは全く固定の仕方が違います。プレートが骨から浮いているため骨膜血行の障害が最小限です。骨の周囲には全周で骨膜血行が温存されており、プレート下骨の虚血性変化を防ぐことができるようになりました。プレートは皮膚の下に設置されているので皮膚縫合してしまうと外からは見えません。

 

 

 

3⃣術後管理

整形外科手術では術後の管理がどの手術よりも重要になります。手術がうまくいっても術後の管理がうまくいかなければあっという間に固定が破綻してしまい骨癒合に失敗してしまいます。術後はまず2-3週間は包帯を設置し激しい運動は控えてもらいます。元気な動物に運動制限を行うのはとても難しいですが、ケージに入れたり行動範囲を制限して自由に動き回れないようにします。そして定期的な診察には来てもらい、包帯を交換したりレントゲン検査等で術後の経過をみさせていただきます。入れたプレートは抜かずにそのままのことが多いですが、タイミングをみてプレートを抜去する場合もあります。また患肢において筋力の低下がおきているのでリハビリによる筋力アップや食事管理も欠かせません。

 


7月 01 2020

猫ちゃんの腎不全

こんにちは。野並どうぶつ病院の病院ブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではワンちゃん、ネコちゃんの病気や病院で行っている手術についてご紹介していきます。今日は猫の腎不全についてお話しします。

 

目次

  1. 猫の腎不全
  2. 原因はなんですか?
  3. 特徴
  4. どのような症状がおきますか?
  5. 診断
  6. 治療
  7. 予防

 

 

 

 

1⃣猫の腎不全

 

 

 

腎不全とは病気の名前ではなく腎臓の機能が25%未満に低下した状態を指します。腎不全には急性腎不全と慢性腎不全があり、今回は高齢のねこちゃんに増えてくる慢性腎不全のお話しをします。

 

慢性腎不全の発症率は年齢とともに増加し、猫において主要な死亡原因の一つです。慢性腎不全の猫では心筋症や甲状腺機能亢進症、腫瘍といった他の老齢性疾患を併発していることも多いため、これらの病気の管理においても慢性腎臓病の適切な診断や治療は重要となります。

 

 

2⃣原因はなんですか?

 

過去のウイルス感染や細菌感染、尿石症などに伴う慢性腎炎(糸球体腎炎、間質性腎炎、腎盂腎炎)、尿路閉塞、先天性・遺伝性腎臓病(腎形成不全や多発性嚢胞腎)、加齢に伴う腎機能低下あげられます。また急性腎不全の治療後充分に腎機能が回復しないと慢性腎不全に移行することがあります。

 

 

3⃣特徴

 

数か月~数年単位でゆっくりと腎機能の低下がみられます。腎臓は予備能力が高いため、腎臓機能の75%が障害されないと目立った症状が現れにくく血液検査などの結果も異常値がみつからない場合もあります。慢性腎不全は進行性であり一度失った腎機能は回復することはできません。

 

 

4⃣どのような症状がおきますか?

 

よくみられる初期症状は「多飲多尿」です。薄い尿が多量にでるので猫独特の尿臭もなくなってきます。必要以上に尿がでるため、飲水量が増えていても脱水状態になります。病態が進んでくると少しずつ元気消失、食欲低下、被毛粗剛、体重減少などが見られるようになり、さらに病態が進行すると良く寝ていることが増え、体内に老廃物が溜まって嘔吐や口腔内潰瘍、下痢や便秘、痙攣といった尿毒症症状がみられます。また造血ホルモンの低下による貧血、高血圧に起因する網膜剥離による失明といった一見直接腎臓と関係ない症状もみられることがあります。

 

 

5⃣診断

 

身体検査、尿検査、血液検査、画像検査などを組み合わせて診断します。通常、腎臓機能が75%以上障害されてからでないと血液検査結果は異常値を示さないといわれています。猫では現在SDMAという猫の腎臓病のより早期の診断を可能にする血液検査の新項目もあり、腎機能が40%低下してくると異常が検出できます。尿検査では尿比重の低下や尿蛋白を調べることによって血液検査よりも早期に腎臓の異常を検出できることもあります。また画像診断によって慢性腎不全の原因を特定したり、腎臓の状態を把握します。必要に応じて眼底検査や血圧測定も行います。

 

 

6⃣治療

 

急性腎不全と異なり、慢性的にダメージを受けた腎臓組織が回復することはとても難しいです。慢性腎不全の初期の治療目的は残っている正常な腎臓組織にできるだけ負担をかけないようにすることにあります。これから腎臓病の治療法をいくつかご紹介します。

  • 食事療法

腎臓の負担になりやすいタンパク質やリン、塩分などを抑えたものがよいと言われています。ただし、猫はもともとタンパク質の要求量が多いので、極端な制限は避けるべきです。適切な脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどを添加しておく必要もあります。適切な食事療法を行えば尿毒症になるまでの期間や生存期間を延ばすことができるといわれています。病院には様々な療法食があるのでご相談ください。サンプルのご用意もあるので実際に試していただくことも可能です。

  • 吸着剤の投与

腎機能が低下すると体に老廃物が蓄積しやすくなるため吸着剤の投与行います。吸着剤により体に蓄積する老廃物の一部を腸管で吸収し、便とともに排出し尿毒症症状が軽減されるようにします。吸着剤も錠剤や粉などさまざまな種類があるため、継続して服用できるものを探していきましょう。

  • 貧血の治療

腎機能が低下すると腎臓のエリスロポエチンの分泌が低下することによって貧血をおこします。腎性貧血は進行していきますので、造血ホルモン製剤の注射を二週間に一度行います。

  • 脱水の緩和

慢性腎不全の猫は容易に脱水状態に陥りやすくそれによって腎機能がさらに悪化するため輸液治療が行われます。静脈点滴の場合は入院治療となりますが、皮下点滴の場合は静脈点滴よりも吸収率は落ちますが自宅でも行うことができます。その子の体重や脱水状態を考慮し適切な輸液を行うことで脱水を緩和し腎機能の悪化を防ぎます。

  • その他

蛋白尿や高血圧が見られる場合は症状に合わせた投薬を行います。低カリウム血症を起こすこともありますので療法食のみで低カリウム血症を抑制できない場合は経口的なカリウム補充を考慮します。この場合はグルコン酸カリウムが用いられ、錠剤や液体のお薬もあります。

このような治療を行っていても慢性腎不全は少しずつ進行しさらに症状が顕著になってきた場合は対症療法が中心となります。

 

 

7⃣予防

 

慢性腎不全は高齢の猫に増えてくる病気です。一度失われた腎機能は回復しません。早期発見・早期治療のために年に1~2回の健康診断の実施が推奨されます。血液検査でBUN、クレアチニンをみるだけでなく、SDMAや尿検査、超音波検査もあわせておこない早期の腎臓の異常を検出できるよう定期的な検査を行っていきましょう。

 


6月 16 2020

脾臓の腫瘍について

こんにちは。野並どうぶつ病院の病院ブログをご覧いただきありがとうございます。このブログではワンちゃん、ネコちゃんの病気や病院で行っている手術についてご紹介していきます。今日は「脾臓の腫瘍」についてお話しします。

 

 

 

 

目次

  1. 脾臓の腫瘍について
  2. どのような検査を行いますか?
  3. 確定診断はどのようにしているの?
  4. 脾臓をとってしまっても大丈夫?
  5. 治療法はあるの?
  6. 最後に

 

 

 

1⃣脾臓の腫瘍について

 

脾臓はリンパ系器官の中で最も大きな臓器で、主な作用は血液のろ過や貯蔵、造血、免疫機能等さまざまな役割を果たしています。脾臓腫瘍は犬では比較的発生頻度の高い腫瘍の一つです。脾臓の腫瘍は大きくなっても症状が認められず、超音波検査等で偶発的に発見されることもあります。脾臓にできものができると良性悪性にかかわらず、出血を起こす可能性があります。腹腔内出血を起こした場合、急激に血圧が低下しショック状態に陥り、命に関わることもあります。当院で脾臓の腫瘤に対してどのような検査、診断、治療しているかをご紹介したいとおもいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

2⃣どのような検査を行いますか

 

当院では血液検査やX線検査、超音波検査を合わせて行っています。

 

<血液検査>

 

脾臓腫瘤が腹腔内出血や腫瘍内出血を繰り返している場合は貧血が見られる場合が多いため血液検査で確認しています。また脾臓の腫大が認められる場合はその原因となる病気がないか血液検査で確認しています。

 

 

<X線検査>

 

脾臓の腫大や腫瘤性病変の確認、腹水の有無や他臓器への転移等を確認しています。一般的には脾臓がびまん性(一面に広がるように)腫大しているときは、脾臓のうっ血やリンパ腫、肥満細胞腫等が原因で起きることが多いと言われています。また限局して脾臓が腫大している場合は結節性過形成や血種、血管肉腫、線維肉腫、平滑筋肉腫などが考えられます。ただしX線検査での見た目や腫瘤の大きさのみでこれらの疾患を鑑別することは困難です。

 

<超音波検査>

 

正常な脾臓はきめ細かい均一なエコー源性を有しています。エコーの見え方の違いにより病気がある程度絞り込めますがその見え方の違いだけでは確定診断はできません。診断には通常FNA(穿刺吸引細胞診)が必要となります。脾臓のFNAは超音波ガイド下で血行の少ない部位を特定し、経皮的に行っています。リンパ腫や肥満細胞腫を疑っている場合の診断にはFNA検査は有効ですが、血管肉腫が疑われる場合や止血異常がある場合など腹腔内出血の可能性がある場合は検査することができません。麻酔をかけずにおこなえるFNAは有用な検査ではありますが、検査に有益な細胞がとれないこともあるため確定診断をするのが難しい場合も多くあります。

 

 

 

3⃣確定診断はどのようにしているの?

 

 

先ほども述べたように脾臓の腫瘤がある場合、細胞診だけでは確定診断がつけられないため、当院では手術による脾臓の全摘出を推奨しています。摘出後の脾臓を外部の検査機関に送り病理検査を行うことで確定診断をつけることができます。

 

 

 

4⃣脾臓をとってしまっても大丈夫?

 

 

脾臓の機能はほかの器官が代償できるものが多いため、脾臓の全摘出を行っても大きな影響はないと考えられています。しかし脾臓を摘出した子では出血性のショックや激しい運動に対して耐性が低いとの報告もあるため全く影響がないとは言えません。また骨髄低形成の動物では脾臓が造血の主要な器官であるため脾臓摘出はできません。

 

 

 

 

 

 

5⃣治療法はあるの?

 

 

脾臓疾患に対する一般的な治療法は脾臓の全摘出です。脾臓の部分的な摘出は悪性だった場合の再発のリスクという観点からあまり推奨はされておらず、また術後の出血のリスクが高まることがあるため当院では脾臓の全摘出を推奨しています。ただしすべての脾臓の腫瘤に対して手術を勧めるわけではなく、場合によっては経過観察をして変化がないかを見ていく場合もあるので担当医との相談になります。

 

当院では脾臓の全摘出を行う際に通常一週間の入院をします。術後の経過次第で退院の日程は相談となります。確定診断がついたあと治療は相談していきます。例えば血種や結節性過形成などの良性の病変であれば通常摘出すれば長期的予後も非常に良好であるケースが多いです。しかし悪性である場合は腫瘍の種類によってその治療が異なります。例えば脾臓の原発性血管肉腫は摘出しても予後が悪いことが多く、ステージⅠの転移がない症例でも脾臓摘出術のみで治療したときの平均生存中央値は86日、手術後の二か月生存率は31%ともいわれています。転移がある場合は可能な限り化学療法を行いますが、化学療法が著しくQOLを改善しないというような報告もあるため、術後の動物の状態等を考慮しつつ化学療法を行うか否かを決定しています。高齢の動物も多いため、当院では治療についてしっかりと事前に相談させてもらい治療をしていきますのでご安心ください。

 

 

 

6⃣最後に

 

 

脾臓の腫瘤は超音波検査で偶発的に発見されることが多い病気です。症状が出た時にはすでに腹腔内出血を起こしているため命に関わる状態です。高齢になると増えてくるため、一度健康診断を受けることをお勧めします。


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Nonami Animal Hospital

野並どうぶつ病院

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