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野並どうぶつ病院

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病院ブログ

ワンちゃんの病気

3月 06 2020

ワンちゃんの膝蓋骨脱臼って?

膝蓋骨脱臼って何?

 

膝蓋骨脱臼とは後肢にある膝蓋骨(膝のサラ)が正常な位置から外れてしまった状態をいいます。内側に外れる内方脱臼と外側に外れる外方脱臼がありますが、その発生頻度は圧倒的に内方脱臼が高いです。全ての犬種に発生がみられますが、特に内方脱臼はトイプードル、チワワ、ヨークシャーテリア、ポメラニアンなどの小型犬種に多くみられ小型犬の発生リスクは大型犬の12倍ともいわれています。外方脱臼は大型の犬種に稀にみられることがあります。膝蓋骨脱臼は猫ちゃんでもみられるこがありますが、ワンちゃんほど一般的ではありません。膝蓋骨を英語でpatella(パテラ)ということから、膝蓋骨脱臼を「パテラ」と呼ぶこともあります。

 

 

なぜ膝蓋骨の脱臼がおきるの??

 

先天性と後天性に分けられます。先天性のものでは出生時から膝関節や膝関節周囲にみられる異常が存在することによってそれが加齢とともに進行し、膝蓋骨の脱臼を招きます。後天性のものでは打撲や落下などによる外傷性の原因で膝蓋骨周囲の組織に損傷が生じる場合や、骨に関連する栄養障害などによって骨の変形が生じた結果発生します。

 

分類

 

膝蓋骨脱臼の症状はその程度により無症状のものから正常な歩行が困難なものまで幅広くあります。それらはグレードⅠからグレードⅣまで重症度によって分類されます。

 

<重症度分類>

 

グレードⅠ:膝蓋骨は正常な位置にあり、足を伸展させて膝蓋骨を指で押すと脱臼するが、放すと自然に修復される。無症状の場合が多いが、ときにスキップ様の歩行をする。

 

グレードⅡ:膝関節は不安定で屈曲していると脱臼し跛行したりするが、指で膝蓋骨を押すと整復できる。日常生活に支障がないことが多いが、さまざまな症状を呈しながらも骨の変形が進み、膝蓋骨を支える靭帯が伸びてステージⅢに移行してしまう危険性がある。

 

グレードⅢ:膝蓋骨は常に脱臼状態にあり、指で押せば整復できるがすぐに脱臼してしまう。

顕著な跛行がみられる。

 

グレードⅣ:膝蓋骨は常に脱臼し、指で押しても整復できない。重症例では膝関節を自力で伸展することができない。

 

治療法はあるの??

 

治療法はグレードや犬の年齢、犬種、体重、合併症の有無等を考慮して選択しております。外科治療を行わない限り完治はありませんが、内科治療(保存的治療)を勧めるケースもあります。

<内科治療(保存的治療)を勧める場合>

  • 6カ月未満の小型犬
  • 成長板が閉鎖した成犬でグレードⅠ,Ⅱ(疼痛なし)
  • 麻酔処置のリスクが高い場合

内科治療では消炎鎮痛剤を短期間使用することによって一時的に関節炎の症状を抑えます。膝関節の構造自体が変化するわけではないので完治は望めませんが、十分にケアすることで再脱臼による関節炎を防ぎ良好に維持できるケースもあります。具体的には重要になるのは体重の管理です。体重の増加は膝に負担をかけるので増やしすぎないように注意します。また病院には関節の健康維持に配慮した食事やサプリメントなどもあるので取り入れるとよいでしょう。痛みがでている場合は、休ませることも重要になるため過激な運動や長時間の散歩は控え自宅で安静に過ごすようにします。

 

<外科治療を勧める場合>

当院では疼痛があるグレードⅡ~Ⅲ以上のケースでは積極的に外科手術をすすめています。グレードⅡ以下では十分な経過観察を行いますが、慢性的な膝蓋骨脱臼は前十字靭帯断裂の要因になることも報告されているため、変形性関節症を含めた予防的な処置を希望される場合は早期に外科的治療を行っています。細かな手術法は症例により異なりますので、ここでは省略させていただきます。また手術後の安静と適切なリハビリも大切です。ワンちゃんの性格や退院後の自宅での生活も含めてよく検討してから手術を受ける必要がありますので、獣医師とご相談ください。

 

 

最後に

 

 

膝蓋骨脱臼はなるべく早期に発見し、関節や靭帯、骨の変形などの二次的な問題が出る前に適切な治療を選択することが重要です。人気の小型犬種の多くは膝蓋骨脱臼の好発犬種です。特に気になる症状がない場合でもワクチン接種時など日頃から定期的に膝の状態を見てもらっておくと安心です。


1月 29 2020

子宮蓄膿症ってどんな病気?

はじめに

 

ワンちゃん、ネコちゃんお水をたくさん飲んだり、外陰部から膿のようなものが出ている時は「子宮蓄膿症」かもしれません。

 

 

 

 

 

子宮蓄膿症ってどんな病気?

 

子宮蓄膿症は子宮内腔に膿汁が貯留する病気です。子宮の出口である子宮頸管の状態によって閉鎖性と開放性の2型があります。閉鎖性のものでは子宮頸管が閉じているため子宮は著しく拡張し子宮壁は薄くもろくなります。また卵管から膿汁が腹腔内に漏れ出す危険性があり、膿汁には大腸菌やブドウ球菌等の細菌が含まれているため、致死性の腹膜炎を起こす危険性が増します。一方、開放性のものでは子宮頸管が拡張するため、子宮内の膿汁が外陰部から排膿されます。外陰部から何か膿のようなものがでていると飼い主様が気づかれて来院されるケースがよくあります。

 

原因は?

 

犬では6歳ごろから多発する傾向があります。猫は犬に比べて子宮蓄膿症の発症は少ないものの若齢期で発症するものもあるので注意が必要です。

本症は発情周期に伴って分泌される黄体ホルモン(プロジェステロン)の関与が大きいことがわかっています。通常犬の膣粘膜のphは酸性に傾いているため子宮内への細菌侵入は生じにくいですが、発情が始まってから1-2か月後の子宮はこの黄体ホルモン(プロジェステロン)の影響によってバランスが崩れ外陰部からの感染がおこりやすいため、子宮内で細菌が増殖し膿汁が貯留します。

 

どんな症状がおこりますか?

 

一般的には犬では食欲不振、元気消失、発熱、多飲多尿、嘔吐、および腹部膨満が認められます。多飲多尿は様々な病気のサインとして現れることが多いので、もし明らかにお水を飲む量が多かったり排尿の回数が多かったりする場合は病院を受診することをお勧めします。また猫では嘔吐や多飲多尿は顕著ではないこともあるので注意が必要です。開放性の子宮蓄膿症であれば外陰部からの排膿がみられるのでそれで気づく飼い主様も多くいらっしゃいます。

 

診断や治療はどうするの?

 

血液検査、超音波検査、X線検査を行います。血液検査で白血球の増加や炎症の数値(CRP)の増加がみられることが多いです。また超音波検査、X線検査で液体が貯留し腫大した子宮を確認します。

重篤な状態で動物病院に来院することが多いため救命を考えると外科的に卵巣・子宮全摘出術を行うのが一般的な治療法で最も推奨されます。

また、高齢、麻酔・手術のリスクが高い場合や飼い主様が手術を希望しない場合には内科的治療を行う場合もありますが、内科的治療では治癒に時間がかかったり、必ずしも100%の治癒率ではなく、治ってもまた次の発情後に再発する場合もあります。卵巣腫瘍などを伴ったものでは効果がみられないこともあるので注意が必要です。

 

最後に

 

ワンちゃんに特に多い「子宮蓄膿症」は場合によっては死に至ることもある恐ろしい病気です。できる限り早期に発見し治療するほど身体への影響も少なくなりますので、生理後二カ月以内に上記にあげた症状がみられる場合は早めに近くの病院を受診してください。

 


1月 17 2020

ワンちゃんの乳腺腫瘍って?

おなかにしこりが!!ワンちゃんの乳腺腫瘍ってどんな病気?

 

先日、おなかにしこりができているというワンちゃんが来院されました。体表にできる腫瘤にはいろいろな種類のものがありますが、今回診察したところ乳腺のところに大きな腫瘤ができていました。その子は避妊手術をしておらず、腫瘤の場所から乳腺腫瘍の可能性を疑い診断、治療を進めていくことになりました。

 

今回は私たち獣医師が日常診察で遭遇することが多い乳腺腫瘍についてお話しをします。犬と猫では病態が異なるため、今回は犬の乳腺腫瘍についてのみのお話しになります。猫ちゃんはまた今度お話ししたいと思います。

 

 

犬の乳腺腫瘍ってどんな病気?

 

犬の乳腺腫瘍は雌犬に発生する腫瘍の中で最も多くみられるもので、犬に発生する腫瘍全体の25-50%を占めるといわれています。また乳腺腫瘍の1%未満ですが、雄にも発生することが分かっています。未避妊の雌は避妊済みの雌に比べて乳腺腫瘍の発生リスクはなんと7倍ともいわれています。

平均年齢は10-11歳で好発犬種としてプードルやテリア種、コッカースパニエル、ジャーマンシェパードドッグ等が初期の研究ではよく記載されていましたが、最近ではチワワやボクサーで発生が少ないとの報告があり、見解が一致しないところもあり意見が分かれています。この犬種だから乳腺腫瘍にならないというのはないので、どの犬種も注意が必要です。良性と悪性については約50%が悪性でありさらにその50%が転移をおこすともいわれています。

 

避妊手術をすれば乳腺腫瘍にはならないって本当ですか??

 

答えはNOです。ただし乳腺腫瘍はホルモンの影響を確実に受けることが知られているので、特に若齢期に避妊手術を受けることで発生率が劇的に低下します。避妊手術を初回の発情前に行った場合、乳腺腫瘍が発生するリスクは0.05%、初回と二回目の発情の間に行った場合は8%、二回目の発情以降に行った場合は26%です。このことから乳腺腫瘍の発生を抑えるためには二回目の発情までに避妊手術を行うことが効果的です。

 

診断から治療のながれについて

 

診断するために細胞診という針で細胞をとる検査を事前にする場合もありますが、確定診断をするためには手術を行い、切除した組織を病理検査に送ります。病理検査を行うことで腫瘍の悪性度やリンパ管や血管への浸潤の有無をみることができるので今後の治療法が決まります。治療はその子の状態によっても異なるためここでは詳しくは説明できませんが、良性の場合は手術後特に治療が必要にならない場合もあります。ただし新たなしこりができてこないか経過を見ていく必要はあります。また悪性の場合は抗がん剤等の治療が必要になるため通院が必要になります。

 

手術が不安です!

 

当院では手術ができるかどうかをみるための術前検査をしっかりと行っています。術前検査では血液検査やレントゲン検査、超音波検査等を行っています。万が一、手術ができないと判断した場合でもその子それぞれに寄り添った治療を提案させていただくので安心してください。

 

 

最後に

 

万が一腫瘍ができても早期発見することが大事です。全ての雌の成犬、特に未避妊の雌犬では定期的に乳腺を触診する必要があります。あれ?しこりかな?と思うなものを見つけた場合は是非一度来院していただき、直接獣医師にご相談ください。


1月 07 2020

SUBシステムによる尿管閉塞の手術って?

 

画期的なSUBシステム

 

尿管は腎臓で作られた尿を膀胱まで運ぶ管です。この尿管が結石や腫瘍など様々な原因によって詰まってしまうことを尿管閉塞と言います。

尿管閉塞が起こると尿の流れが阻害され、腎不全が生じ命に関わることがあります。内科的に治療困難な場合、従来では腎機能の喪失によって命に関わることが多くありましたが、SUBシステムを用いた手術の開発によって命を救うことができるようになりました。

 

 

 

腎臓って何をしてる?腎不全?尿管閉塞?

 

腎臓は体内を流れる血液から悪い成分を分離して尿として排出する働きを持っています。腎臓自体に疾患があり正常な尿を作れなくなると、良い成分を尿に出したり、悪い成分を体内に残してしまうようになり、この状態を腎不全と言います。また、腎臓自体は正常であっても、腎臓で作られた尿を膀胱まで運ぶ管である「尿管」が詰まってしまうことによって腎不全が起こります。尿管が詰まっている時間が短いと腎臓の機能が回復する可能性がありますが、詰まっている時間が長いと回復できなくなります。

 

 

SUBシステムについて

 

SUBシステムは腎臓と膀胱をつなげるシリコンカテーテルと、そのカテーテルを洗浄する時に使用するポートと呼ばれるチタン製の金属からなります。これらによって尿管とは別に尿の迂回路を作成します(下図)。

 

閉塞した尿管とは別の尿の迂回路ができることによって腎臓の負担を軽減することができます。

カテーテルはお腹の中(内臓と一緒の場所)にありますが、ポートは皮膚の下に設置します。これは定期的にポートから洗浄液を注入し、カテーテルがつまらないようにするためです。カテーテルの洗浄は手術から1週間後(入院中に実施)、1ヶ月後に実施し、その後は状態によりますが3ヶ月に1回程度の洗浄を実施します。洗浄には麻酔は必要ありませんが清潔な処置が必要となるため場合によっては鎮静剤を使用して実施することがあります。

 

 

 

SUBシステムといえど万全ではありません。

 

残念ながらSUBシステムの手術をしても回復しない場合や、何らかの症状が持続することがあります。主に以下のような注意事項が挙げられますので確認してください。

・SUBシステムの手術を実施しても尿管閉塞による腎臓への負担が大きい場合は腎機能が改善しない場合があります。

・物理的な刺激や腎臓の機能低下により手術後に貧血を起こしたり、血尿や排尿時の疼痛が持続する場合があります。これらの症状は徐々に悪化したり、長期間持続する場合があります。

・手術した場合、平均すると1週間程度の入院が必要となります。また、退院後も定期的な診察や治療が必要となります。通院の間隔は状態によりますが、退院直後はなるべく間を空けずに通院していただくことが必要です。

・原材料費が高価なため、通常の手術と比較すると手術代が高くなります。

・カテーテルは劣化や閉塞によって数年後に交換が必要な場合があります。

 

 

まとめ

 

以上、SUBシステムに関してざっくりと説明させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。獣医療も日々進化しており、治せなかった病気への新しい治療法が出てきています。当院としましても新しい治療法や負担の少ない治療法などを積極的に取り入れていきたいと考えていますので、このブログでご紹介していきたいと思います。


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