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野並どうぶつ病院

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病院ブログ

ネコちゃんの症例

7月 01 2020

猫ちゃんの腎不全

<猫の腎不全>

 

 

 

腎不全とは病気の名前ではなく腎臓の機能が25%未満に低下した状態を指します。腎不全には急性腎不全と慢性腎不全があり、今回は高齢のねこちゃんに増えてくる慢性腎不全のお話しをします。

 

慢性腎不全の発症率は年齢とともに増加し、猫において主要な死亡原因の一つです。慢性腎不全の猫では心筋症や甲状腺機能亢進症、腫瘍といった他の老齢性疾患を併発していることも多いため、これらの病気の管理においても慢性腎臓病の適切な診断や治療は重要となります。

 

 

<原因>

 

過去のウイルス感染や細菌感染、尿石症などに伴う慢性腎炎(糸球体腎炎、間質性腎炎、腎盂腎炎)、尿路閉塞、先天性・遺伝性腎臓病(腎形成不全や多発性嚢胞腎)、加齢に伴う腎機能低下あげられます。また急性腎不全の治療後充分に腎機能が回復しないと慢性腎不全に移行することがあります。

 

 

<特徴>

 

数か月~数年単位でゆっくりと腎機能の低下がみられます。腎臓は予備能力が高いため、腎臓機能の75%が障害されないと目立った症状が現れにくく血液検査などの結果も異常値がみつからない場合もあります。慢性腎不全は進行性であり一度失った腎機能は回復することはできません。

 

 

<症状>

 

よくみられる初期症状は「多飲多尿」です。薄い尿が多量にでるので猫独特の尿臭もなくなってきます。必要以上に尿がでるため、飲水量が増えていても脱水状態になります。病態が進んでくると少しずつ元気消失、食欲低下、被毛粗剛、体重減少などが見られるようになり、さらに病態が進行すると良く寝ていることが増え、体内に老廃物が溜まって嘔吐や口腔内潰瘍、下痢や便秘、痙攣といった尿毒症症状がみられます。また造血ホルモンの低下による貧血、高血圧に起因する網膜剥離による失明といった一見直接腎臓と関係ない症状もみられることがあります。

 

 

<診断>

 

身体検査、尿検査、血液検査、画像検査などを組み合わせて診断します。通常、腎臓機能が75%以上障害されてからでないと血液検査結果は異常値を示さないといわれています。猫では現在SDMAという猫の腎臓病のより早期の診断を可能にする血液検査の新項目もあり、腎機能が40%低下してくると異常が検出できます。尿検査では尿比重の低下や尿蛋白を調べることによって血液検査よりも早期に腎臓の異常を検出できることもあります。また画像診断によって慢性腎不全の原因を特定したり、腎臓の状態を把握します。必要に応じて眼底検査や血圧測定も行います。

 

 

<治療>

 

急性腎不全と異なり、慢性的にダメージを受けた腎臓組織が回復することはとても難しいです。慢性腎不全の初期の治療目的は残っている正常な腎臓組織にできるだけ負担をかけないようにすることにあります。これから腎臓病の治療法をいくつかご紹介します。

  • 食事療法

腎臓の負担になりやすいタンパク質やリン、塩分などを抑えたものがよいと言われています。ただし、猫はもともとタンパク質の要求量が多いので、極端な制限は避けるべきです。適切な脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどを添加しておく必要もあります。適切な食事療法を行えば尿毒症になるまでの期間や生存期間を延ばすことができるといわれています。病院には様々な療法食があるのでご相談ください。サンプルのご用意もあるので実際に試していただくことも可能です。

  • 吸着剤の投与

腎機能が低下すると体に老廃物が蓄積しやすくなるため吸着剤の投与行います。吸着剤により体に蓄積する老廃物の一部を腸管で吸収し、便とともに排出し尿毒症症状が軽減されるようにします。吸着剤も錠剤や粉などさまざまな種類があるため、継続して服用できるものを探していきましょう。

  • 貧血の治療

腎機能が低下すると腎臓のエリスロポエチンの分泌が低下することによって貧血をおこします。腎性貧血は進行していきますので、造血ホルモン製剤の注射を二週間に一度行います。

  • 脱水の緩和

慢性腎不全の猫は容易に脱水状態に陥りやすくそれによって腎機能がさらに悪化するため輸液治療が行われます。静脈点滴の場合は入院治療となりますが、皮下点滴の場合は静脈点滴よりも吸収率は落ちますが自宅でも行うことができます。その子の体重や脱水状態を考慮し適切な輸液を行うことで脱水を緩和し腎機能の悪化を防ぎます。

  • その他

蛋白尿や高血圧が見られる場合は症状に合わせた投薬を行います。低カリウム血症を起こすこともありますので療法食のみで低カリウム血症を抑制できない場合は経口的なカリウム補充を考慮します。この場合はグルコン酸カリウムが用いられ、錠剤や液体のお薬もあります。

このような治療を行っていても慢性腎不全は少しずつ進行しさらに症状が顕著になってきた場合は対症療法が中心となります。

 

 

<予防>

 

慢性腎不全は高齢の猫に増えてくる病気です。一度失われた腎機能は回復しません。早期発見・早期治療のために年に1~2回の健康診断の実施が推奨されます。血液検査でBUN、クレアチニンをみるだけでなく、SDMAや尿検査、超音波検査もあわせておこない早期の腎臓の異常を検出できるよう定期的な検査を行っていきましょう。

 


5月 28 2020

炎症性腸疾患って?

ワンちゃんや猫ちゃんの炎症性腸疾患について

 

お腹を壊しやすい人がいるように犬も猫もお腹を壊して軟便や下痢を慢性的に繰り返しやすいこがいます。消化器症状の原因として多いのは食事の急な変更、気候や環境の変化によるものなどの一過性で治療しやすいものから、ある食材に対するアレルギー反応、腸内細菌のアンバランス、感染症(ウイルス、細菌、寄生虫)、腫瘍などの重症化すると治療が困難なものもあります。原因が特定しやすい場合には診断や治療もしやすいですが、原因が特定しにくい、できないものも少なくありません。特に原因不明の慢性下痢の中では「炎症性腸疾患(IBD)」が比較的多いと言われています。

 

炎症性腸疾患(IBD)とはどんな病気ですか?

 

IBDとは胃、小腸、および大腸の粘膜において原因不明の慢性炎症を起こし、慢性の消化器症状を呈する症候群のことです。犬や猫におけるIBDの発生機序および病態はあまり明らかにはなっていません。すべての品種に発生しますが、ある特定の犬種(ジャーマンシェパード・ドッグなど)では好発傾向があり、その発生には遺伝的な背景が関与していることが疑われています。

 

どのように診断していますか?

 

当院では血液検査、超音波検査、レントゲン検査を行い、内視鏡または開腹手術にて生検を行っています。

世界小動物獣医師会(WSAVA)が提唱しているIBDの診断基準は以下のものです。

<IBDを疑う場合>

  • 3週間以上嘔吐や下痢をはじめとする胃腸症状が続くこと
  • 対処療法、食事療法、抗菌薬などに完全に反応しないこと
  • 病理組織学的に消化管粘膜の炎症性変化が明らかであること
  • 消化管に炎症を引き起こす疾患が認められないこと
  • 抗炎症薬や免疫抑制療法によって症状が良化すること

IBDと診断するためにはこれら全てもしくはほとんどを満たしていなければなりません。IBDとは病理医が診断する病気ではなく、あくまでも臨床医が臨床症状、除外診断、病理組織学的検査、治療の反応性などの所見を総合して判断する疾患です。IBDの胃腸の病理組織学的検査所見は非特異的でありIBDの中にも好酸球性腸炎、肉芽腫性腸炎、リンパ球形質細胞性腸炎などと様々な分類がありますが、リンパ球形質細胞性腸炎の診断名がつくことがほとんどです。また「リンパ球形質細胞性腸炎」と腫瘍である「リンパ腫」の鑑別が非常に難しい場合があります。紛らわしい場合は免疫組織化学染色やクローナリティー解析といった特殊検査も組み合わせることによって可能な限り鑑別を試みますが、炎症と腫瘍の境界を確実に分けるのが難しい場合もあります。

 

この下に腸の写真が出てきます。気分を害する可能性のある方はご遠慮ください。

 

 

 

治療法はありますか?

 

残念ながらIBDを完治させることはできません。しかし早期に確定診断をつけることで重症化を抑えられる可能性があります。IBDの病態から考えて、食事の変更や抗菌薬等を用いて腸管内の抗原量を減らすことは重要です。食事内容は低アレルギー性で消化性がよく、中等度に脂肪制限されていて動物の栄養要求を満たす食事が第一に推奨されます。具体的には病院だと低アレルギー食①新奇蛋白食(d/d、セレクトプロテイン)、②加水分解蛋白食(z/d ultra、低分子プロテイン)、③アミノ酸食(アミノペプチドフォーミュラ、アミノプロテクトケア)を使用しています。IBDでは低アレルギー食で症状の軽減が認められることも報告されていますが、食事だけで完全に症状が寛解することはありません。そのため、症状のコントロールのために抗炎症薬や免疫抑制剤の投与が必要なことが多いです。抗炎症薬の中心になるのはコルチコステロイドです。初期治療にはコルチコステロイドを用いないと臨床症状を完全にコントロールできないことがほとんどです。症状の改善が見られたら投与量を漸減していきますが、完全に投薬を中止できない症例も多いのが現状です。

IBDの治療は通常長期間あるいは生涯にわたる可能性があります。

 

最後に

 

わんちゃん、ねこちゃんの下痢には一過性ですぐ治るものからなかなか治らないものもあります。検査をすることで病気が見つかる場合もありますので、一度病院での検査をおすすめします。


1月 07 2020

SUBシステムによる尿管閉塞の手術って?

 

 

 

画期的なSUBシステム

 

 

尿管は腎臓で作られた尿を膀胱まで運ぶ管です。この尿管が結石や腫瘍など様々な原因によって詰まってしまうことを尿管閉塞と言います。

 

尿管閉塞が起こると尿の流れが阻害され、腎不全が生じ命に関わることがあります。内科的に治療困難な場合、従来では腎機能の喪失によって命に関わることが多くありましたが、SUBシステムを用いた手術の開発によって命を救うことができるようになりました。

 

 

 

腎臓って何をしてる?腎不全?尿管閉塞?

 

 

腎臓は体内を流れる血液から悪い成分を分離して尿として排出する働きを持っています。腎臓自体に疾患があり正常な尿を作れなくなると、良い成分を尿に出したり、悪い成分を体内に残してしまうようになり、この状態を腎不全と言います。また、腎臓自体は正常であっても、腎臓で作られた尿を膀胱まで運ぶ管である「尿管」が詰まってしまうことによって腎不全が起こります。尿管が詰まっている時間が短いと腎臓の機能が回復する可能性がありますが、詰まっている時間が長いと回復できなくなります。

 

 

SUBシステムについて

 

SUBシステムは腎臓と膀胱をつなげるシリコンカテーテルと、そのカテーテルを洗浄する時に使用するポートと呼ばれるチタン製の金属からなります。これらによって尿管とは別に尿の迂回路を作成します。

閉塞した尿管とは別の尿の迂回路ができることによって腎臓の負担を軽減することができます。

カテーテルはお腹の中(内臓と一緒の場所)にありますが、ポートは皮膚の下に設置します。これは定期的にポートから洗浄液を注入し、カテーテルがつまらないようにするためです。カテーテルの洗浄は手術から1週間後(入院中に実施)、1ヶ月後に実施し、その後は状態によりますが3ヶ月に1回程度の洗浄を実施します。洗浄には麻酔は必要ありませんが清潔な処置が必要となるため場合によっては鎮静剤を使用して実施することがあります。

 

 

 

SUBシステムといえど万全ではありません。

 

残念ながらSUBシステムの手術をしても回復しない場合や、何らかの症状が持続することがあります。主に以下のような注意事項が挙げられますので確認してください。

・SUBシステムの手術を実施しても尿管閉塞による腎臓への負担が大きい場合は腎機能が改善しない場合があります。

・物理的な刺激や腎臓の機能低下により手術後に貧血を起こしたり、血尿や排尿時の疼痛が持続する場合があります。これらの症状は徐々に悪化したり、長期間持続する場合があります。

・手術した場合、平均すると1週間程度の入院が必要となります。また、退院後も定期的な診察や治療が必要となります。通院の間隔は状態によりますが、退院直後はなるべく間を空けずに通院していただくことが必要です。

・原材料費が高価なため、通常の手術と比較すると手術代が高くなります。

・カテーテルは劣化や閉塞によって数年後に交換が必要な場合があります。

 

 

まとめ

 

以上、SUBシステムに関してざっくりと説明させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。獣医療も日々進化しており、治せなかった病気への新しい治療法が出てきています。当院としましても新しい治療法や負担の少ない治療法などを積極的に取り入れていきたいと考えていますので、このブログでご紹介していきたいと思います。


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