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野並どうぶつ病院

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病院ブログ

ネコちゃんの病気

5月 28 2020

炎症性腸疾患って?

ワンちゃんや猫ちゃんの炎症性腸疾患について

 

お腹を壊しやすい人がいるように犬も猫もお腹を壊して軟便や下痢を慢性的に繰り返しやすいこがいます。消化器症状の原因として多いのは食事の急な変更、気候や環境の変化によるものなどの一過性で治療しやすいものから、ある食材に対するアレルギー反応、腸内細菌のアンバランス、感染症(ウイルス、細菌、寄生虫)、腫瘍などの重症化すると治療が困難なものもあります。原因が特定しやすい場合には診断や治療もしやすいですが、原因が特定しにくい、できないものも少なくありません。特に原因不明の慢性下痢の中では「炎症性腸疾患(IBD)」が比較的多いと言われています。

 

炎症性腸疾患(IBD)とはどんな病気ですか?

 

IBDとは胃、小腸、および大腸の粘膜において原因不明の慢性炎症を起こし、慢性の消化器症状を呈する症候群のことです。犬や猫におけるIBDの発生機序および病態はあまり明らかにはなっていません。すべての品種に発生しますが、ある特定の犬種(ジャーマンシェパード・ドッグなど)では好発傾向があり、その発生には遺伝的な背景が関与していることが疑われています。

 

どのように診断していますか?

 

当院では血液検査、超音波検査、レントゲン検査を行い、内視鏡または開腹手術にて生検を行っています。

世界小動物獣医師会(WSAVA)が提唱しているIBDの診断基準は以下のものです。

<IBDを疑う場合>

  • 3週間以上嘔吐や下痢をはじめとする胃腸症状が続くこと
  • 対処療法、食事療法、抗菌薬などに完全に反応しないこと
  • 病理組織学的に消化管粘膜の炎症性変化が明らかであること
  • 消化管に炎症を引き起こす疾患が認められないこと
  • 抗炎症薬や免疫抑制療法によって症状が良化すること

IBDと診断するためにはこれら全てもしくはほとんどを満たしていなければなりません。IBDとは病理医が診断する病気ではなく、あくまでも臨床医が臨床症状、除外診断、病理組織学的検査、治療の反応性などの所見を総合して判断する疾患です。IBDの胃腸の病理組織学的検査所見は非特異的でありIBDの中にも好酸球性腸炎、肉芽腫性腸炎、リンパ球形質細胞性腸炎などと様々な分類がありますが、リンパ球形質細胞性腸炎の診断名がつくことがほとんどです。また「リンパ球形質細胞性腸炎」と腫瘍である「リンパ腫」の鑑別が非常に難しい場合があります。紛らわしい場合は免疫組織化学染色やクローナリティー解析といった特殊検査も組み合わせることによって可能な限り鑑別を試みますが、炎症と腫瘍の境界を確実に分けるのが難しい場合もあります。

 

この下に腸の写真が出てきます。気分を害する可能性のある方はご遠慮ください。

 

 

 

治療法はありますか?

 

残念ながらIBDを完治させることはできません。しかし早期に確定診断をつけることで重症化を抑えられる可能性があります。IBDの病態から考えて、食事の変更や抗菌薬等を用いて腸管内の抗原量を減らすことは重要です。食事内容は低アレルギー性で消化性がよく、中等度に脂肪制限されていて動物の栄養要求を満たす食事が第一に推奨されます。具体的には病院だと低アレルギー食①新奇蛋白食(d/d、セレクトプロテイン)、②加水分解蛋白食(z/d ultra、低分子プロテイン)、③アミノ酸食(アミノペプチドフォーミュラ、アミノプロテクトケア)を使用しています。IBDでは低アレルギー食で症状の軽減が認められることも報告されていますが、食事だけで完全に症状が寛解することはありません。そのため、症状のコントロールのために抗炎症薬や免疫抑制剤の投与が必要なことが多いです。抗炎症薬の中心になるのはコルチコステロイドです。初期治療にはコルチコステロイドを用いないと臨床症状を完全にコントロールできないことがほとんどです。症状の改善が見られたら投与量を漸減していきますが、完全に投薬を中止できない症例も多いのが現状です。

IBDの治療は通常長期間あるいは生涯にわたる可能性があります。

 

最後に

 

わんちゃん、ねこちゃんの下痢には一過性ですぐ治るものからなかなか治らないものもあります。検査をすることで病気が見つかる場合もありますので、一度病院での検査をおすすめします。


1月 29 2020

子宮蓄膿症ってどんな病気?

はじめに

 

ワンちゃん、ネコちゃんお水をたくさん飲んだり、外陰部から膿のようなものが出ている時は「子宮蓄膿症」かもしれません。

 

 

 

 

 

子宮蓄膿症ってどんな病気?

 

 

子宮蓄膿症は子宮内腔に膿汁が貯留する病気です。子宮の出口である子宮頸管の状態によって閉鎖性と開放性の2型があります。閉鎖性のものでは子宮頸管が閉じているため子宮は著しく拡張し子宮壁は薄くもろくなります。また卵管から膿汁が腹腔内に漏れ出す危険性があり、膿汁には大腸菌やブドウ球菌等の細菌が含まれているため、致死性の腹膜炎を起こす危険性が増します。一方、開放性のものでは子宮頸管が拡張するため、子宮内の膿汁が外陰部から排膿されます。外陰部から何か膿のようなものがでていると飼い主様が気づかれて来院されるケースがよくあります。

 

 

原因は?

 

 

犬では6歳ごろから多発する傾向があります。猫は犬に比べて子宮蓄膿症の発症は少ないものの若齢期で発症するものもあるので注意が必要です。

本症は発情周期に伴って分泌される黄体ホルモン(プロジェステロン)の関与が大きいことがわかっています。通常犬の膣粘膜のphは酸性に傾いているため子宮内への細菌侵入は生じにくいですが、発情が始まってから1-2か月後の子宮はこの黄体ホルモン(プロジェステロン)の影響によってバランスが崩れ外陰部からの感染がおこりやすいため、子宮内で細菌が増殖し膿汁が貯留します。

 

 

どんな症状がおこりますか?

 

 

一般的には犬では食欲不振、元気消失、発熱、多飲多尿、嘔吐、および腹部膨満が認められます。多飲多尿は様々な病気のサインとして現れることが多いので、もし明らかにお水を飲む量が多かったり排尿の回数が多かったりする場合は病院を受診することをお勧めします。また猫では嘔吐や多飲多尿は顕著ではないこともあるので注意が必要です。開放性の子宮蓄膿症であれば外陰部からの排膿がみられるのでそれで気づく飼い主様も多くいらっしゃいます。

 

診断や治療はどうするの?

 

 

血液検査、超音波検査、X線検査を行います。血液検査で白血球の増加や炎症の数値(CRP)の増加がみられることが多いです。また超音波検査、X線検査で液体が貯留し腫大した子宮を確認します。

重篤な状態で動物病院に来院することが多いため救命を考えると外科的に卵巣・子宮全摘出術を行うのが一般的な治療法で最も推奨されます。

また、高齢、麻酔・手術のリスクが高い場合や飼い主様が手術を希望しない場合には内科的治療を行う場合もありますが、内科的治療では治癒に時間がかかったり、必ずしも100%の治癒率ではなく、治ってもまた次の発情後に再発する場合もあります。卵巣腫瘍などを伴ったものでは効果がみられないこともあるので注意が必要です。

 

 

最後に

 

 

ワンちゃんに特に多い「子宮蓄膿症」は場合によっては死に至ることもある恐ろしい病気です。できる限り早期に発見し治療するほど身体への影響も少なくなりますので、生理後二カ月以内に上記にあげた症状がみられる場合は早めに近くの病院を受診してください。

 


1月 07 2020

SUBシステムによる尿管閉塞の手術って?

 

 

 

画期的なSUBシステム

 

 

尿管は腎臓で作られた尿を膀胱まで運ぶ管です。この尿管が結石や腫瘍など様々な原因によって詰まってしまうことを尿管閉塞と言います。

 

尿管閉塞が起こると尿の流れが阻害され、腎不全が生じ命に関わることがあります。内科的に治療困難な場合、従来では腎機能の喪失によって命に関わることが多くありましたが、SUBシステムを用いた手術の開発によって命を救うことができるようになりました。

 

 

 

腎臓って何をしてる?腎不全?尿管閉塞?

 

 

腎臓は体内を流れる血液から悪い成分を分離して尿として排出する働きを持っています。腎臓自体に疾患があり正常な尿を作れなくなると、良い成分を尿に出したり、悪い成分を体内に残してしまうようになり、この状態を腎不全と言います。また、腎臓自体は正常であっても、腎臓で作られた尿を膀胱まで運ぶ管である「尿管」が詰まってしまうことによって腎不全が起こります。尿管が詰まっている時間が短いと腎臓の機能が回復する可能性がありますが、詰まっている時間が長いと回復できなくなります。

 

 

SUBシステムについて

 

SUBシステムは腎臓と膀胱をつなげるシリコンカテーテルと、そのカテーテルを洗浄する時に使用するポートと呼ばれるチタン製の金属からなります。これらによって尿管とは別に尿の迂回路を作成します。

閉塞した尿管とは別の尿の迂回路ができることによって腎臓の負担を軽減することができます。

カテーテルはお腹の中(内臓と一緒の場所)にありますが、ポートは皮膚の下に設置します。これは定期的にポートから洗浄液を注入し、カテーテルがつまらないようにするためです。カテーテルの洗浄は手術から1週間後(入院中に実施)、1ヶ月後に実施し、その後は状態によりますが3ヶ月に1回程度の洗浄を実施します。洗浄には麻酔は必要ありませんが清潔な処置が必要となるため場合によっては鎮静剤を使用して実施することがあります。

 

 

 

SUBシステムといえど万全ではありません。

 

残念ながらSUBシステムの手術をしても回復しない場合や、何らかの症状が持続することがあります。主に以下のような注意事項が挙げられますので確認してください。

・SUBシステムの手術を実施しても尿管閉塞による腎臓への負担が大きい場合は腎機能が改善しない場合があります。

・物理的な刺激や腎臓の機能低下により手術後に貧血を起こしたり、血尿や排尿時の疼痛が持続する場合があります。これらの症状は徐々に悪化したり、長期間持続する場合があります。

・手術した場合、平均すると1週間程度の入院が必要となります。また、退院後も定期的な診察や治療が必要となります。通院の間隔は状態によりますが、退院直後はなるべく間を空けずに通院していただくことが必要です。

・原材料費が高価なため、通常の手術と比較すると手術代が高くなります。

・カテーテルは劣化や閉塞によって数年後に交換が必要な場合があります。

 

 

まとめ

 

以上、SUBシステムに関してざっくりと説明させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。獣医療も日々進化しており、治せなかった病気への新しい治療法が出てきています。当院としましても新しい治療法や負担の少ない治療法などを積極的に取り入れていきたいと考えていますので、このブログでご紹介していきたいと思います。


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